肥満細胞腫
掲載日:2023.03.03
肥満細胞腫はワンちゃん猫ちゃんの皮膚で一般的に生じる腫瘍です。
一般的な腫瘍であるため、世界的に多くの論文で様々な報告がなされています。
グレード分類と予後の関連を報告しているPatnaikのGrade分類やKiupelのGrade分類が、病理組織検査を実施した場合によく当てはめられます。ただし、この分類はワンちゃんの皮膚肥満細胞腫での対応となりますので、皮下や内臓型の肥満細胞腫には適応できません。
肥満細胞腫は基本的には外科療法が適応となります。肉眼的に見える範囲だけでなく腫瘍は顕微鏡レベルで周りに浸潤しているケースもあるので正常組織もある程度含めて一括切除が望まれます。皮膚にあまりがない部位で発生した場合、皮膚が足りずに様々な減張縫合や皮弁法など様々な外科的手技が用いられます。個人的には外科の腕のみせ所かと個人的には思います。
診断自体は多くの場合、臨床獣医師でも可能です。肥満細胞は細胞質内顆粒を含有し、その顆粒にはヒスタミンをはじめとした生理活性物質が含まれています(写真)。これらの物質が腫瘍随伴症候群として胃腸潰瘍や低血圧症、ダリエ徴候など様々な臨床徴候を示します。致命的なケースもあり注意が必要です。
大学での勤務時代では難治症例、再発例が多く来院されていました。早期発見、1回目の手術でいかに対応するかが特に大切な腫瘍と感じておりましたです。生理活性物質のヒスタミンの測定など臨床研究もしていました。肥満細胞腫に関しては見識が深く、経験が多いです。
肥満細胞腫で相談がございましたら、ご連絡いただければと思います。
愛知動物外科病院