会陰ヘルニア

掲載日:2021.11.29

会陰ヘルニアは、肛門挙筋、尾骨筋、内閉鎖筋といった外肛門括約筋周囲の隔壁が何らかの異常で弱くなり、腹腔内臓器が会陰部に脱出してしまう病態を指します。未去勢の雄での好発例が多く、男性ホルモン関連性が示唆されてはいますが、メスでも発生しますし、腹腔内の内圧が上がることで発生する場合もあります。

この会陰ヘルニアには、仙結節靭帯を用いる方法、内閉鎖筋を剥がす方法や人工材料を用いる方法など、いくつか報告されていますが、どの方法が一番優れているかは判っていません。
我々の病院では第一選択として、仙結節靭帯を用いる方法を多くの場合選択します。この方法は古典的な方法ではありますが、人工材料を用いず実施できるため肛門近くであることから危惧される感染にも強く、侵襲性が少なく済む手術方法になると考えております。

ただ、仙結節靱帯の消失など状況により異なる方法を選択する場合もございます。臨機応変に状況を判断して、一番適している方法を選択いたします。

排便、排尿障害、会陰部の膨らみ、などございましたご相談ください。経過が長いと肛門が尾側へ移動してしまった分、直腸が伸びてしまい、整復後に直腸脱を引き起こしてしまう可能性がありますので、放っておかず早めに受診することをお勧めします。

 

愛知動物外科病院