門脈体循環シャント
掲載日:2021.11.28
門脈体循環シャントとは、通常肝臓に流れる門脈が、肝臓ではなく後大静脈や奇静脈といった血管に流入し、肝臓を介さないで再び全身にその血液が流れてしまう病態を指します。
胃、腸管や脾臓、膵臓などの臓器から流出する血管の門脈が肝臓に流入し解毒などの処理が行われますが、このシャント血管が存在する場合、この解毒作用がされずに全身に再び血液が流れてしまいます。
そのため、アンモニアをはじめとした不純物が全身に流れてしまい様々な悪い影響を及ぼしてしまいます。
先日、尿道閉塞のワンちゃんの詰まっていた結石が尿酸アンモニウムという特殊な結石であることが分かり、門脈体循環シャントを疑いました。やはり総胆汁酸の値も高く、CT検査を実施すると左胃-横隔静脈–後大静脈シャントが存在することが明らかとなりました。
先天性の血管奇形であることから、1、2歳までに明らかになることが多いのですが、横隔静脈を介する場合は、呼吸時の横隔膜の動きにより血管が潰れるため、6歳前後まで特に何も症状がない場合があります。
当院では、CT検査実施後に手術計画を立て、手術も対応できます。
食後に涎が出る、食後にボーとする、血液検査でアンモニアが高い、総胆汁酸が高い、肝臓が小さいと言われた、尿酸アンモニウム結石があるなどのサインがありましたらご相談ください。
愛知動物外科病院