股関節脱臼

掲載日:2023.06.24

暑い日々が続きます。ワンちゃんたちの活動性も上がり、怪我をするこが多くなっています。

特に股関節の脱臼する子が多いです。

腹側脱臼、背側脱臼があり、治療法が異なります。

腹側脱臼は2、3割を占めますが、多くは手術をせずに済みます。エーマースリングで固定すると外転してしまい逆効果となってしまいます。外転防止を目的としたHobble包帯が必要になります。

背側脱臼では7、8割を占めますが、手術が基本的に必要となります。エーマースリングでの固定は、皮膚や関節へのダメージが強いことや再発率の高さから現在では勧められてはいません。外科となると股関節周囲の筋肉への侵襲が大きいトグルピン法や人工関節包形成術が選択されます。現実問題これであっても80%ほどの成功率とされています。当院では、経関節ピンニングという方法でまずは治療します。利点はとにかく低侵襲。股関節周囲の筋肉は触りません。切るのは2,3cmの皮膚くらいです。あとはC-arm で観ながら適切な太さのPinを挿入して終了です。

C-arm と特殊な知識、技術が入りますがとても有用です。近隣ではおそらく当院でしかやっていないと思います。私見としてはいきなりトグルピン法、人工関節包形成術よりまずは低侵襲の経関節ピンニングで治療するのが総合的にも有用性を感じます。場合によっては、手術当日に退院できるケースもあります。

 

愛知動物外科病院