会陰ヘルニア 2
掲載日:2022.01.26
ここ数日、会陰ヘルニアについてお問い合わせが続きましたので、少し細かくご説明させていただきます。困っている方も多いかと思われます。
会陰ヘルニアが生じると、骨盤の隔壁が崩壊し、腹腔内臓器が会陰側へ脱出してしまうことが強調されてしまいますが、それ以外に病態として肛門が尾側に変移してしまいます。ですので、骨盤隔壁を塞ぐだけでなく、肛門を元の位置に戻してあげないと、直腸は伸び切ったままであり、そのスペースに糞便が溜まってしまいます。
当院では、感染のリスクや手術侵襲性を考慮してできるだけ人工材料を用いず手術を実施したいと考えております。方法は仙結節靭帯という元々備わっている靭帯を利用して外肛門括約筋と合わせます。また腹側部分では坐骨の骨膜にも縫合糸を通し、外肛門括約筋を合わせます。このように整復することで肛門の位置も元に戻ります。
ただし、会陰ヘルニアが慢性的に存在し、直腸が大きく伸び切ってしまっている場合は、肛門を元の位置に戻すと、伸びてしまった分、直腸脱が生じてしまいます。こうした場合は、開腹して結腸を固定したり、伸び切った直腸を切り取らなければなりません。
会陰ヘルニアでお困りであれば、ご相談ください。
愛知動物外科病院