紐状異物
掲載日:2024.01.28
紐状異物による消化管閉塞を起こし、低アルブミン血症及び膵炎を疑う血液検査所見がある症例の手術がありました。画像検査上、胃の幽門から十二指腸を越えて異物が確認されました。閉塞所見も認められ、外科療法を実施しました。異物は胃から空腸にかけて存在し、腸管を強固に手繰り寄せられている状態でした。膵臓の腫脹、腸管の血色も良くない状態でした。手術では、1箇所からこの紐上に連なる異物を引っ張ってしまうと、腸管が穿孔してしまう恐れがありますので、消化管の複数箇所を切開し、適度に異物のテンションを解除しながらを無理に引っ張らないようにしながら細かく切って摘出しました。腸管は異物摘出後の色調、運動は問題なしと判断し、切除することなく、切開部を縫合するだけで終えることができました。念のため、オメンタムパッチ、ドレーンチューブを設置し閉腹しました。術後すぐに膵炎を疑う所見は改善し、流動食を食べさせられる状態になると低アルブミンも改善、経過良好で退院することができました。
誤食は、若いワンちゃん・ネコちゃんで多く認められる傾向があり、どんな時にでも起きてしまう可能性があります。病状の差も食べてしまった物や閉塞の仕方などによって大きく変わってきます。例えば留守番中に誤食していて、何か誤食した様な跡がなければ気づかないこともあり、病状を悪化させてしまう要因になってしまいます。幸いにも誤食を疑うような症状は、連続で何度も吐いていたり、食べたりしてもすぐにもどしてしまったりと判断しやすい事が多くあります。これに加えて、その子自体で誤食が癖になってしまっていることがあれば、可能性はかなり高くなります。時間が進むにつれて重症化してしまいますので、疑わしい際は気兼ねなくご相談ください。
愛知動物外科病院