真珠腫性中耳炎
掲載日:2022.12.12
真珠腫性中耳炎とは、発症原因は解明されてはいないが、外耳炎などから鼓膜を破損し、中耳内へ角化扁平上皮が浸潤し、本来、鼓室包にはない角化上皮細胞の蓄積が鼓室包内で起こることで生じるとされています。感染・炎症を慢性化させることで鼓室包の骨融解、顔面神経麻痺や内耳器官損傷による斜頸などの前庭疾患、頭蓋内への浸潤による発作などの神経徴候、側頭骨への骨反応により開口障害などが生じます。
治療法は、多くが外科療法であり外耳道での病変も存在しているのであれば全耳道切除術+外側鼓室包骨切術(TECA LBO)を選択し、外耳を残せる状態であるならば、腹側鼓室包骨切術を選択しています。姑息的には外耳道からの牽引・除去法などもあります。
CT画像のワンちゃんは、内耳器官の損傷、頭蓋内への浸潤が認められた。後日、腹側鼓室包切開術にて手術を実施しました。
開口不全や側頭骨融解、神経徴候を示す場合の生存期間中央値は16ヶ月と示されています。手術後の髄液漏出などで周術期での死亡も報告されています。診断には、CT検査が有用となります。CTを用いることで、手術計画、より詳細な浸潤程度、予想されるリスクが明らかにされますので必須の検査となります。
外耳炎が慢性化している、斜頸などの神経徴候が現れた場合など、一度ご相談いただければと思います。
愛知動物外科病院