直腸プルスルー法

掲載日:2022.08.17

プルスルー(pull through)法と呼ばれる手術は、主に大腸(直腸、結腸)粘膜プルスルー法と全層プルスルー法を指しています。一般的に粘膜プルスルー法ですと10cm程まで引き抜く事が可能ではありますが、10cmを越えてくると裂開のリスクが高まります。全層プルスルー法ですと10cmも引き抜くことは難しくなります。全層プルスルー法で引き抜く制限となるのは、結腸の腹腔内での支持構造です。具体的には後腸間膜動脈や十二指腸結腸間膜、結腸間膜の存在が肛門側へ結腸を移動する際の制限となります。

数年前に、開腹下で制限となる結腸の固定を解放し、全層プルスルー法を組み合わせる方法が動物にも応用され報告されました。スヴェンソン・プルスルー法(Swenson pull through technique)と呼びます。この方法により、肛門側へ結腸を大きく引き抜く事ができるようになり、腹壁に人工肛門を形成する最終手段の前に、選択肢として挙げられる手術になりました。ただし、術後のお尻周りの皮膚炎は管理がある程度必要となります。

大腸・結腸の腫瘍など、お困りのことがありましたら、一度お問合せください。

 

愛知動物外科病院