上腕骨顆骨化不全(IOHC)

掲載日:2022.06.18

あまりメジャーな疾患ではありませんが、IOHCと診断したチワワさんをご紹介させていただきます。

主訴:若齢時より前肢跛行のあり、とのことでご紹介いただきました。

歩様は左前肢跛行が顕著で、
徒手検査では両側キャンベルテストにおいて、内旋可動域が増加しておりの内外側ともに疼痛が明らかでした。肘関節伸展時にも疼痛、捻髮音が認められました。

肘関節のレントゲン検査では、上腕骨顆間の透過性亢進のラインを認めましたが、尺骨と重なってしまうことで不鮮明な陰影でしたので、より詳細な所見を得るためにCT検査を実施いたしました。

CT検査で、両側の上腕骨顆骨化不全(IOHC)の診断致しました。骨折にしては断端のCT値が高く、骨密度の高い所見が得られたこと、癒合過程で示される骨反応が乏しいことから骨折は否定的でした。

 

IOHCはスパニエル種で発生が多く報告されていますが、トイ・プードルさんやミニチュア・ピンシャーさんでも経験があります。臨床徴候も認められない例もあると言いますが、上腕骨上顆の骨折などのリスクが高まることからも外科的介入が勧められます。

今回のようにレントゲン検査だけでは、判断がつかないこともあります。今回はCT検査による確定診断でしたが、レントゲン検査にてIOHCの疑いを持つことができていたため、すぐにCT検査を勧められました。

レントゲン検査の読影力を落とさないように、日々鍛錬することを忘れてはならないと改めて思いました。

 

愛知動物外科病院