門脈体循環シャント

掲載日:2024.08.12

いわゆる門脈シャントは、マルチーズをはじめとした小型犬での発生が多い肝外シャントが日本では多いです。

横隔静脈シャントでは、吸気のタイミングで血管は潰されるので、症状として出現する時期が遅れます。早期診断のためには、血液検査、総胆汁酸測定、尿検査、腹部レントゲンでの肝臓サイズなども有用となります。ここで怪しい所見があるのであればCT検査を実施し、確定、手術という流れになるかと思います。

手術では、術後発作がいちばんの合併症になると思います。門脈圧を測定しながらになるので、術後門脈高血圧はそうそうなりませんが注意が必要です。また1回の手術では、済まないケースもありますし、シャント血管を閉鎖したことで、別のシャント血管が開き、機能してしまう場合も存在します。

手術でのパターンは、シャント血管の位置次第になります。閉鎖方法は、門脈圧をみながらにはなりますが最初から完全結紮できるケースは少ないです。アメロイドコレクターリング、セロハン、絹糸による部分結紮などがあります。

左の写真は、左胃-CVCシャント、中央の写真は、横隔静脈シャントでの手術所見となります。矢印はシャント血管です。右の写真はCVCに入るシャント血管のセロファンバンディングした写真になります。